希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

自立学習者を育てる「教えない授業」

6月25日(土)は、三重県鈴鹿市鈴鹿医療科学大学で開催された中部地区英語教育学会三重大会に。

問題別討論会の「アクティブ・ラーニングと英語教育」は大盛況でレジュメが足りなくなるほど。

翌26日(日)は英語授業研究学会関西支部 第27回春季研究大会で大阪の樟蔭女子大学に。

ここでも「アクティブラーニングで授業はどう変わるか」と題された課題別討論会が開催され、会場に入れきれないほどの人たち(100人以上か)が参集され、大急ぎでレジュメを増刷するほどでした。

提案者(登壇順・敬称略)は、江利川 春雄(和歌山大学)、和田 憲明(姫路大学、前神戸大学附属中等教育学校)、山本 崇雄(東京都立両国高等学校)。コーディネーター:は松永 淳子(大阪府教育センター)でした。

登壇した僕が言うのもへんですが、とても充実した内容で、2倍の時間が欲しいほどでした。

討論会の内容を紹介する時間はありませんが、東京からお出で頂いた登壇者の山本 崇雄先生から発売前の新著『なぜ「教えない授業」が学力を伸ばすのか』(日経BP)をサイン入りで頂きましたので、お礼を込めてご紹介いたします。

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山本先生も「教え込み型」の一斉授業を長らく続けてこられました(僕もそうです)。

その教育観を一変させたのは、2011年の3・11東日本大震災

被災地に立った先生は涙が止まらず、こう決意したそうです。

「人間には、ゼロからスタートしなければならないときが来る。教師がいなくても学び続ける子どもたちを育てなければならない」

こうした信念に基づいて「教えない」教育の試行錯誤が始まります。

英語教育における授業実践については、前著『はじめてのアクティブ・ラーニング! 英語授業』(2015)で具体的に述べられています。

これも素晴らしい本で、僕は今年3月卒業のゼミ生・院生全員に贈りました。

今回の新著『なぜ「教えない授業」が学力を伸ばすのか』は、先生が「教えない授業」を実践するに至った思い、試行錯誤の過程、めざましい成果、学校全体を変える可能性、家庭での実践法に至るまで、良質のエッセイのような読みやすさで書かれています。

今回の本は、英語教師だけでなく他教科の先生たちにも、一般の人々、とりわけ子どもを持つ親にも、ぜひお読みいただきたいと思います。
また、そう書かれています。

根底に流れるのは、子どもたちの成長を願う山本先生の熱い思いと、子どもたちへの信頼です。

そんな思いは、次の言葉に集約されています。

「激変する社会で、力強く自立し、生き抜く子どもたちを育成するために、学校は変わらなければなりません。そして、学校を支える家庭も変わらなければならないのです。大人がマニュアルをつくり、要領のいい生き方を教えるのではなく、「教えない」ことで子どもたちに自立を促していく教育が、教師だけでなく、全ての親に求められているのです。」(11ページ)

最後に目次をご覧ください。

そして、ぜひ本書をお読みください。

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