希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

札幌鉄道局『鉄道英語会話』の謎

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なんだか、このブログは英語教育史料の記事がやたらと増えてきた。
やっぱり、この世界が大好きなんですよね。(^_^;)

で、またも新着史料の話です。

札幌鉄道局発行の『鉄道英語会話』(Practical English Conversation for Railway Servants)

変な本だ。
なぜかというと、奥付がない。だから、発行年月日も発行責任者も、印刷所もわからない。
鉄道英語関係の教材は明治から出ており、ぼくも南満州鉄道(株)発行のものも含めて5冊ほど持っているが、奥付のない本は初めて。
なんとも、お役所仕事くさい。

「はしがき」には、「外国軍隊進駐に伴ひ、職員が外客に接する機会は益々多く、鉄道英語の必要は愈々〔いよいよ〕切実となり」とあるから、敗戦直後だろう。
本文でも「新語」として「進駐軍」や「マツクアーサー司令部」などが出てくるから、まず間違いない。

調べてみると、札幌「鉄道局」が誕生したのは1950年(1月試行、8月正式発足)。講和直後に実施した1952年8月5日の組織改正で自動車事務所を除く各事務所が鉄道管理局に統合されたから、この本は1950~52年の間に発行されたようだ。

しかし、本文には「満洲国の新京です」とか「大和魂」などの言葉もあるから、どうも戦前に出ていたものを増補して刊行したようだ。

ということは、戦前版を探し出さなければならない。
とはいえ、戦前版も、この戦後版も国会図書館にも全国の図書館(Webcat)にもない。

かくして、また探求心がムクムクと頭をもたげ、古書店とオークションへのアクセスが続く。

誰か止めて!!
(^_^;)