希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

子どもの被曝線量引き下げを!(2)

5月4日のブログで、子どもの被曝線量の引き下げを求める山内知也教授(神戸大)の文部科学省への申し入れを紹介しました。

その山内さんから、5月5日に新たな申入書を文部科学省原子力安全委員会に提出したとのメールが届きました。

文科省が打ち出した年間20ミリシーベルトという基準が、どれほど危険きわまりない数値であるかを具体的に示しています。

セシウム半減期を考えれば、年間20ミリシーベルトというい数字は、まさに戦慄を覚えるレベルです。スウェーデンでの研究から明らかなように、疫学的には相当数の癌や白血病が出ても不思議ではないレベルです。山内さんの資料から関連部分を掲載します。

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こんな数字を通達する文部科学省に、はたして子どもの教育を語る資格があるのでしょうか。

児童・生徒の被ばく限度についての申入書(2)

                         2011年5月5日

文部科学省学校健康教育科 電話 03‐6734‐2695
FAX03‐6734‐3794
原子力安全委員会事務局 電話 03‐3581‐9948
FAX03‐3581‐9837

                   山内知也 神戸大学大学院海事科学研究科 教授

大学で放射線を教授している者として申し入れます。

先に2011年4月21日付けで申入書を提出いたしましたように、福島県内の児童と生徒の被ばく限度とされている年間20ミリシーベルトの基準は、子供が浴びる線量としては不当に高いものです。撤回して年1ミリシーベルトの基準を児童と生徒にはまず適用してください。

既に環境汚染の主体になっているのはセシウム-137であって、この核種の半減期は30年です。土壌に付着する性質が強いので取り除かれない限りその場に留まって放射線を出し続けます。1年目が20ミリシーベルトであったと仮定します。次年度に同様な過ごし方をさせますと、ほとんど同じ被ばくを受けることになります。相当の作業と努力がなければ同様な被ばくが2年目以降も続きます。
年当りの被ばく量 累積被ばく量
1年目 20.0ミリシーベルト 20.0ミリシーベルト
2年目 19.5ミリシーベルト 39.5ミリシーベルト
3年目 19.1ミリシーベルト 58.6ミリシーベルト
4年目 18.6ミリシーベルト 77.3ミリシーベルト
5年目 18.2ミリシーベルト 95.5ミリシーベルト
6年目 17.8ミリシーベルト 113.4ミリシーベルト:小学校卒業   
7年目 17.4ミリシーベルト 130.8ミリシーベルト
8年目 16.6ミリシーベルト 147.8ミリシーベルト
9年目 16.2ミリシーベルト 164.4ミリシーベルト:中学校卒業   
10年目 15.9ミリシーベルト 180.6ミリシーベルト

小学1年生は卒業までに113ミリシーベルト、中学卒業までに164ミリシーベルトを被ばくすることになります。例え半分でも、それぞれ、57ミリシーベルトと82ミリシーベルトです。

原子力安全委員会が平成19年に改訂した原子力防災指針『原子力施設等の防災対策について』は、セシウムが原子炉からは出てこないという大前提で書かれております。希ガスヨウ素だけが念頭におかれています。今は応用問題を解くことが必要です。子供と住民の避難計画を一刻も早く立案し実行して下さい。

以上