希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

教育実習体験談(2)

周囲から「修行」と呼ばれた実習

 
 まずは実習校の紹介の紹介からさせていただく。


・私立高校(愛知県)

中高一貫校 ・進学指導に重点  ・男子校

 

 そう男子校なのだ。これが周囲から「修行」とバカにされた原因である。皆さんの中に男子校出身者はどれ程いるだろうか?おそらくそんなに多くないと思う。なので、特殊な環境での体験だと思って聞いてもらいたい。

 
見知った先生方が多いということもあり、実習生はよく雑務を任された。なので、生徒との交流よりも雑務をしていた記憶の方が多い。朝は毎日、立ち番と呼ばれる挨拶運動「おはよう」と生徒に声をかけ続ける。後半では態度が悪い生徒に挨拶の返答をさせるのがなかなか快感であった。


キリスト教の学校なので「礼拝」と呼ばれる時間が朝に設けられている。ちょうど私がいった期間は「伝道週間」という期間だったので、様々な宗教行事に駆り出された。余談だが、1学年が一斉に礼拝をするチャペル礼拝では、生徒一人一人がろうそくを持って「主の祈り」を唱える。男たちがろうそくを持っている姿は傍目から見るととてもシュール、滑稽な光景で思わず笑ってしまった。


また進学指導に力を入れているのもあり、自分の空き時間には先生に連れて行かれ授業時間を使って大学での様子や勉強の仕方などを話す機会を与えられた。


放課後は「確認テスト」(毎日実施)というテストの採点、そしてご丁寧に追試指導まで行う。最後の最後の追試不合格者まで付き合うと8時を回っていることもあった。ちなみに最後の追試にも不合格の者は課題が出され、それをチェックするのも実習生である。


極め付きは「草取り」である。文字を見ると雑草抜きのように思うかもしれないが、チェーンソーまで登場する「伐採」に近い。毎年、実習生が「伐採」をするのが習わしなのだそうだ。自分の切った木の仕上がりに満足していると、いったい何をしに学校に来ていたのか忘れてしまう程であった。


 時間の合間をみてよく部活指導にも行ったが、これはなかなか楽しかった。皆で共に汗を流し、闘い、そして絆を築く。そう、「男たちの友情」である。現実は漫画やドラマのようにできてはいない。「男たちの友情」にはむさ苦しい汗と耐えがたい体臭が付き物である。

 

 こうしてたくさんの雑務をこなしつつ授業の準備をして、指導案を書くのである。実に大変で、別の意味で「修行」であった。江利川先生のおっしゃるように、寝るのが2時や3時というようなこともしばしばあった。だが、実際の現場の先生はもっと大変なのだ。担当の先生からいただいたそんな一言を紹介して締めくくろう。

 

「実習生は良いとこ取り。実際はこれの5倍大変だと思え」