Amazonでの発売日は8月1日のようですが、祐本先生から御恵贈いただきましたので、いち早く紹介させていただきます。
祐本寿男先生は中央大学教授などを歴任され、代々木ゼミナールの名物講師でもありました(詳細な履歴は下の奥付参照)。
英語参考書の分野でも、『英文解釈ゼミ』(研究社、1982)や『頻出英語長文解法40講』(研究社、1992)などの名著を刊行されています。
この両著とも、私は拙著『受験英語と日本人』(研究社、2011)で紹介させていただきました。
祐本先生は1992年に日本英語教育史学会に入会され、以来、僕は例会のたびに先生とのお話できることを楽しみにしていました。二次会にはいつも高梨健吉先生(東京高師・文理大では祐本先生の先輩)もご一緒でした。
さて、『元気に米寿 吾が英語教育人生に乾杯!』ですが、文字通り一気に読了いたしました。
ぐいぐい引きつけられ、笑いをこらえながら、また泣きそうになりながら、祐本先生の人生とともに大正・昭和・平成をタイムトリップしました。見事な内容です。
まず驚いたのは編集の見事さ。1年分が見開き1ページに収められていて、それぞれにはタイトルが付けられ、必ず写真や図版が収録され、最後はお手製の俳句で締めくくられています。
80年に及ぶ膨大な日記に裏打ちされた高い記録性。みずみずしい叙情性。簡潔で明快な文体。
読ませて、笑わせて、泣かせて、唸らせる文章力。完成度の高さに脱帽しました。
読ませて、笑わせて、泣かせて、唸らせる文章力。完成度の高さに脱帽しました。
次に、珠玉の言葉がいくつも出てきて、思わずマーカーで印を付けてしまいました。
たとえば、「教師業とは夢運搬業、教師は夢の種付け人でございます。命のある限り教え続けて行きたい。それほど楽しい仕事です」(9ページ)。
教員養成に携わっている私としては、胸に染みる言葉でした。さっそく学生たちに伝えます。
たとえば、「教師業とは夢運搬業、教師は夢の種付け人でございます。命のある限り教え続けて行きたい。それほど楽しい仕事です」(9ページ)。
教員養成に携わっている私としては、胸に染みる言葉でした。さっそく学生たちに伝えます。
あえてベストワンを選べと言われたら、僕は躊躇なく第82話の「妻」(184-185ページ)を選びます。これほど祐本先生のお人柄を表現した文章を知りません。
「美人に加えて天性の気品、などと心にもあることはおくびにも出さず、それがし日本男児を気取っているしだい。/邦子とは気が合うのが何よりも嬉しい。言わず、語らず、わかっている。」
うわー!もう言葉になりません。
祐本先生という人間の少なくとも半分は、邦子奥様によって形成されたのですね。
祐本先生という人間の少なくとも半分は、邦子奥様によって形成されたのですね。
みなさん、ぜひお読み下さい。発見の連続ですよ。感動しますよ。こんな生き方をしたいと思いますよ。
祐本先生がお書きになった英語参考書などはネットオークションでも驚くほど高値で取引されています。僕も落札できずに悔し涙を流したこともありました。
そんな全国に数多く存在する祐本ファンにとって、8月の本書発売日は実に待ち遠しいでしょう。