希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

文科省「外国語能力の向上に関する検討会」の動向

文部科学省の今後の英語教育政策をうらなう上で、「外国語能力の向上に関する検討会」の動向は欠かせない。

「外国語能力の向上に関する検討会」の第1回会合は2010年11月18日に開かれた。
以来、月に1回のペースで開催。
6月30日には第8回検討会が開催され、「これまでの審議のまとめ」が議論されたようだ(現時点で議事録等は未公開)。「検討会」は2012年3月末まで。

同検討会において取扱う事項は主に以下の3点。

(1)「『英語が使える日本人』の育成のための行動計画」(2003~07)の改訂について。
(2)英語以外の外国語能力の向上について。
(3)国語力の向上について。

特に(1)がメインであり、「英語教育に関する目標設定の在り方について」、「英語教員の英語力の強化について」、「ICTの活用をはじめとする英語の授業の改善」、「海外留学など生徒が英語でコミュニケーションを行う機会の充実」などの課題が検討される。

「行動計画」の「改訂」であるから、何らかの意味で「行動計画」を引き継ぐ意図があるようだ。
だから要注意。

委員には卯城祐司(筑波大)、根岸雅史(東京外大)、松本茂(立教大)、吉田研作(上智大)の各氏をはじめ、市村泰男氏(日本貿易会常務理事)や本下俊秀(三菱東京UFJ銀行)などの財界人が名前を連ねている。
例によって中学・高校の関係者は入っていない。

5月26日の第7回検討会では「とりまとめに向けたこれまでの議論の整理」が行われ、次のような課題が盛り込まれた。

「教員が一方的に話す講義形式中心の授業から生徒の言語活動中心の授業へと抜本的な授業改善を図る」

「積極的に授業の中でディベートやディスカッションの時間を確保したり、ICTを活用した海外との交流や協働学習等の取組を行う」

「それぞれの学校の実態や生徒の能力に応じて英語教育に関する学習到達目標を設定するとともに、各学校でその達成状況についての適切な検証を行うべき」

などなど。

面白いことに、「協働学習」という文言が入っている。

さて、今後どのような方針を示してくるか。

目が離せない。
というか、目を離すとロクなことがない。