希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

平和,民主主義,民族連帯のための英語教育を(4)

3月13日に京都大学で開催された,国際研究集会2012「大学における外国語教育の目的:『ヨーロッパ言語共通参照枠』から考える」で私が発表した「平和,民主主義,民族連帯のための英語教育を」の第4回(最終回)です。

キーワードの第3は「博愛」です。

博愛とは、民族,言語,文化,宗教などの違いを超えて,だれもが他者を自分の家族のように愛することです。
そのために必要不可欠なのが,お互いの意志疎通を図るための外国語の素養と異文化理解です。

この博愛の精神に基づく外国語教育のことを,私は平和,民主主義,諸民族連帯の外国語教育と呼んでいるのです。

その目的は,次の3点です。

まず第一に、外国語の学習を通して、異なる言語や文化に対する理解と寛容な態度を育て,平和、民族共生、民主主義、権利擁護、環境保護のために、世界の人々との理解、交流、連帯を深めることです。

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第二に、将来外国語を使う必要に迫られたときに,自分の力で外国語を習得するための基礎的素養と学び方を教え,生涯にわたる自律学習者を育てることです。

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第三に、外国語学習を通じて母語である日本語を再認識させ,母語の能力を鍛えることで豊かで批判的な思考力を高め,政府などの権力や原子力関係者やメディアのウソにだまされず,歴史をみずから主体的に作り上げる主権者を育てることです。

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以上の目的に向かうならば,外国語教育に携わるという私たちの仕事は,たいへんやりがいのある仕事となります。

それは,世界の平和,民主主義,諸民族の連帯に寄与する仕事だからです。

そうした目的のために,『ヨーロッパ言語共通参照枠』から学び,日本の外国語教育を良い方向に変えていきましょう。

ご静聴をありがとうございました。

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