希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

『協同学習を取り入れた英語授業のすすめ』を協同的に学ぶ(1)

12月3日の江利川ゼミでは、新刊『協同学習を取り入れた英語授業のすすめ』(大修館書店、英語教育21世紀叢書)を取り上げ、「LTD話し合い学習法」の手法で、予習ノートをもとに議論しました。

以下に、ゼミ日直の久保君がまとめてくれた討論の概要を掲載します。

La La La (江利川ゼミ報告 2012.12.3)

今回のゼミは、江利川春雄編著『協同学習を取り入れた英語授業のすすめ』(大修館書店)の第1章「協同学習の基本的な考え方」、第2章「英語授業での協同学習の進め方」を中心に、意見交流や疑問の共有を通して協同学習を取り入れた英語科教育についての理解を深めようというものでした。

まずは、田中さんのお誕生日を山盛りのケーキで祝いました。

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以下に話し合いの記録をまとめます。

◎ 特別な支援を要する子どもについて

・グループワークを行った際の評価をどうするのか。
特に、特別な支援を要する子がいるグループと、いないグループで、同じ基準で測ってもよいのか。(堂西)

・特別な支援を要する子の困り感(障害となる部分)を共有し、多様な個性を認めある関係づくりが大切。障害となる部分まで、グループの生徒だけで何とかさせよう(子どもに任せよう)としてはいけない。教員の支援が必要。特別な支援を要する子のいるグループへの特別な加点は良くない。先生の補助で、ディスアドバンテージを排除すべきである。(田中)

・専門家の支援体制など、特別支援学級の充実が必要である。(一之澤)

・評価に当たっては、絶対的な得点だけではなく、伸び率(がんばり度)でも評価をする。始めから高得点のグループがそれを維持していた場合は、その努力を評価する。

★個人とグループ、それぞれの得点と伸び率を、総合的に評価する。

フィンランドの教育

・教育問題を論じる際によく引き合いに出されるフィンランドであるが、日本と比較すると環境が全く違う(娯楽が少ない、部活がない、教育にかける費用が違う)ため、フィンランドの教育手法が日本でも同じように効果的であるとは言えない。娯楽の多い日本ではまた別のもの、何らかの強制を含むものが必要ではないか。(屋我)  

*面白い問題提起だが、まずは正確な現状把握が大切。

◎ 上海、シンガポールの教育

・中国で(上海で特に)協同学習が流行している。日本の教育学者(佐藤学教授)が上海で講演を行うなど、協同学習に対する関心が高まり、その結果がPISAの高得点につながったのでは?(江利川先生)

◎ グループ編成論

・4人、5人、6人のグループをそれぞれ見たが、6人グループでの学習活動が一番難しそうに感じた。1グループあたりの人数が多くなると、困難さはぐっと上がる。(一之澤)


他にも、文字数の都合上記載し切れなかったたくさんの話題と議論がありました。他者との意見交流は、自分の疑問が解決するだけでなく、自分が見落としていた問題に気付くことができたり、多くの有益な情報を得ることができます。

次回は3章、4章について、同じように話し合いをします。