それ以上に驚いたのは、彼の次の発言です。
「グローバル時代の政治家として国会議員もTOEFLを立候補要件にしてはどうか、ですか。そういう声も聞きます。でも、政治家とは英語力がないと務まらないのかどうか。」
しかし、彼はディベートの前半で、次のように言ったではありませんか。
「私も副大臣や政務次官として国際会議に出ました。公式な会合は通訳がつきますが、大事なのはその前のあいさつから始まって、夜のパーティーとか、みんなでわいわいやっている場での会話です。それが次の会合に生きてくる。でも悔しいことに英語で話せない。」
政治家が集まる国際会議では、公式の会合の後の「夜のパーティー」などでの(英語での)会話が大事だと言っているではありませんか。
何よりも、彼が安倍首相に提出した「提言」には、次のような方針が明記されています。
「国家公務員の採用試験において、TOEFL 等の一定以上の成績を受験資格とする」
遠藤議員を含む国会議員は、純然たる国家公務員です。
まして、世界の首脳たちと渡り合わなければならない職責があります。
まして、世界の首脳たちと渡り合わなければならない職責があります。
「提言」には、「高等学校段階において、TOEFL iBT 45 点(英検2級)等以上を全員が達成する」という恐ろしい方針を盛り込んだのに、自分のことになると「政治家とは英語力がないと務まらないのかどうか」と逃げたり、「受けても10点ぐらいでしょう」と居直る。
これでも国会議員ですか。
あまりに卑劣ではないでしょうか。
あまりに卑劣ではないでしょうか。
本題は、このあとなのです。
まずは、次の疑問から。
・なぜ教育再生実行本部の議事録を見ても、英語教育についてまともに議論した形跡がないのか。
実は、「入試にTOEFLを」という方針は、遠藤議員を長とする実行本部の人たちが議論を積み重ねて打ち立てた方針ではないのです。
そう、黒幕は、あの「英語社内公用語化」を強行した三木谷氏です。
ですから、朝日紙上での遠藤議員の支離滅裂な発言は確かに嗤うべきレベルですが、本当の敵は遠藤氏の背後にいる経済同友会、つまり日本の財界の巨大な権力です。
経済同友会の政策提言の本文と資料は以下の通りです。
その焦点は、大学入試へのTOEFLの導入です。
大半の高校生にとってTOEFLが難しすぎることは、彼ら自身がよく知っています。
しかし、財界やグローバル企業がほしいのは、ほんの一握りの英語が使えるエリートだけで、他の子どもたちの教育は視野にありません。
だから自民「提言」では、「結果の平等主義から脱却し、トップを伸ばす戦略的人材育成」と明記しているのです。
自民と経済同友会の「提言」が、どれほど公教育を歪める危険な方針か。
英語教育関係者はもとより、教育関係者、子どもの未来を考えるすべての国民が、早急に対策を考え、行動しなければならない問題なのです。
特に、英語教育研究者は、日ごろの研究の成果を、今こそ誤った「国策」を打破するために活かすときではないでしょうか。
沈黙は加担です。
(拡散して下さい)