英語の授業で協同学習を取り入れるには、独特の困難があります。
獲得すべき目標言語が英語、授業中なるべく使用させたい言語も英語(こちらは獲得レベルが低い)という矛盾が付きまとうからです。
私が「英語の授業は英語で行う」という学習指導要領の方針に大反対である一つの理由は、せっかく広がりつつある英語科での協同学習の取り組みを大きく損なう危険性があるからです。
中学校や高校の英語授業の場合、「背伸びとジャンプ」を伴う高度なタスクを遂行するためには、議論や学び合いを「英語で行え」というのはほとんど不可能であり、その必要はありません。
もし、そんな要求を課せば、議論の質は著しく低下し、口を閉ざしてしまう生徒が続出するでしょう。
もちろん生徒たちが英語を使う活動も必要ですが、要は使い分けです。
単純に英語のインプットを増やせば英語力が増すというのは、幻想です。
という前提の上で、生徒間でも英語を使い合う必然性のあるタスクを設定することは重要です。
今回ゼミで3回生が行った模擬授業では、そうした「仲間同士で英語を使い合う必然性」を追求した、しかも「背伸びとジャンプ」のある素晴らしい授業設計でした。
生徒役の大学生たちも熱中し、質の高い学びを経験していました。
この調子で、ぜひ9月の教育実習を頑張ってください。