協同的な学びを導入した学校では、教室が心地よい居場所となり、いじめも不登校も激減したとする報告が数多くなされている。
協同学習は、教室を教科学習だけの場から、多様な考え方・能力・個性を持った人と共に生きる場へ、つまり民主主義を学び合う場へと変える。
子どもたちに、強制された「勉強」の苦痛ではなく、自らが主人公として「学ぶ」ことの楽しさを実感させる。
そうすることで、子どもたちは主体的に学び続ける自律学習者へと育ち、民主主義を担う主権者へと成長する。
子どもたちに、強制された「勉強」の苦痛ではなく、自らが主人公として「学ぶ」ことの楽しさを実感させる。
そうすることで、子どもたちは主体的に学び続ける自律学習者へと育ち、民主主義を担う主権者へと成長する。
教員は子どもを「教えられる客体」として扱うのではなく、子どもが本来的に持っている他者を教える力を最大限に引き出し、授業改革の同志とする。
平等と協同の原理で教育改革を成功させた国として、日本ではフィンランドに関心が集中している。佐藤・和歌山大学附属小学校(2009)によれば、「フィンランドの教育改革の成功の鍵は『質(quality)』と『平等(equality)』の同時追求にあった」。
教育改革が成功しながらも忘れられた国として、カリブ海に浮かぶ社会主義国のキューバがある。2008年に実施された中南米統一学力試験で、キューバは2位以下を大きく引き離して1位を獲得している(図は小6・理科)。ユネスコがフィンランドとともにモデル国に推奨する教育大国なのである(吉田太郎2008)。
半世紀も続く米国の経済封鎖とソビエト崩壊で、キューバの平均月収は15ドル程度ともいわれている。しかし、国家予算に占める教育費の割合は23%、対GDB比は10~11%にも達している(日本は2007年で前者が6.6%、後者が3.4%でOECD加盟国中最下位)。
そのため、学級定数は小学校20人、中学15人、高校30人学級という恵まれた環境を整えている。
そのため、学級定数は小学校20人、中学15人、高校30人学級という恵まれた環境を整えている。
フィンランドと同様に格差を極力なくす政策をとり、授業料や給食費などもすべて無料である。過疎地では生徒が一人でもいれば学校を維持し、地域格差を作らないようにしている。そのために、学校の建設や補修には地域住民がこぞって協力する。
指導方法の中核をなすのが、協同学習である。「成績のいい同級生が補習として勉強を教えてあげるような仕組みが築かれている」(吉田沙由理2008:158)のである。
*吉田沙由理(2008)『小さな国の大きな奇跡:キューバ人が心豊かに暮らす理由』WAVE出版
(つづく)