(1)に続き、和歌山大学大学院江利川研究室で協同学習について研究した中西佐江(和歌山県立高校教諭)の授業実践をもとに、事例研究をしたい。
今回は3人グループで3分間の英会話を持続させるTriangle Discussionである。
今回は3人グループで3分間の英会話を持続させるTriangle Discussionである。
この活動は、NHKテレビの「わくわく授業」で中嶋洋一先生の実践が紹介され、DVDにもなっているのでご存じの方も多いと思う。
→DVDの紹介
三浦孝ほか『ヒューマンな英語授業がしたい!』(研究社)にもやり方が詳しく書かれている。
江利川は大学の授業にも取り入れているが、大いに盛り上がり、達成感も高い活動である。
→DVDの紹介
三浦孝ほか『ヒューマンな英語授業がしたい!』(研究社)にもやり方が詳しく書かれている。
江利川は大学の授業にも取り入れているが、大いに盛り上がり、達成感も高い活動である。
事前の準備とともに、本番での臨機応変さが要求され、実際のコミュニケーション場面に近くなる。
《A. 活動の概要とねらい》
全体を7回に分け、1回目では到達目標を理解させ、ディスカッションに役立つ表現を学ばせた。
2~4回目はペア活動で、会話で用いられる表現を調べ、テーマに沿った表現をペアで考えさせた。
5回目はリハーサルで、声の大きさ、アイコンタクトなどに加え、他者へのサポートの工夫などを学ばせた。
6回目が発表で、生徒全員に評価カードを配布し、発言の流れをメモするように指示した。
7回目がグループによる振り返りで、会話を持続させるための方法を討論させた。
全体を7回に分け、1回目では到達目標を理解させ、ディスカッションに役立つ表現を学ばせた。
2~4回目はペア活動で、会話で用いられる表現を調べ、テーマに沿った表現をペアで考えさせた。
5回目はリハーサルで、声の大きさ、アイコンタクトなどに加え、他者へのサポートの工夫などを学ばせた。
6回目が発表で、生徒全員に評価カードを配布し、発言の流れをメモするように指示した。
7回目がグループによる振り返りで、会話を持続させるための方法を討論させた。
《B. 生徒の変容》
活動当初は、課題に対して難しいと感じている生徒が多かった。しかし、到達すべき目標が明確だったので、それに向かってグループで計画を立てて協力している様子だった。
授業ごとにペアで目標を設定し、授業の終わりには振り返りを行った。そのため授業が進むにつれ、振り返りを次の活動に活かすことができ、取り組みが深まっていった。
活動当初は、課題に対して難しいと感じている生徒が多かった。しかし、到達すべき目標が明確だったので、それに向かってグループで計画を立てて協力している様子だった。
授業ごとにペアで目標を設定し、授業の終わりには振り返りを行った。そのため授業が進むにつれ、振り返りを次の活動に活かすことができ、取り組みが深まっていった。
リハーサルを行うことにより、クラスメイトの優れたところから学び合い、発表に活かすことができた。
発表では、自分の知っている英語でなんとかしてコミュニケーションをとろうとする姿勢(方略的能力)が見られた。
発表を終えた後の感想では、「達成感があった」「英語で話しているという実感があった」などと記述されており、この活動を通して英語でコミュニケーションを行うことの面白さを実感したようである。
発表では、自分の知っている英語でなんとかしてコミュニケーションをとろうとする姿勢(方略的能力)が見られた。
発表を終えた後の感想では、「達成感があった」「英語で話しているという実感があった」などと記述されており、この活動を通して英語でコミュニケーションを行うことの面白さを実感したようである。
《C. 考察》
この実践では、授業ごとに、最初にはペアで目標を設定させ、授業の終わりにはグループで振り返りをさせた。
「すべきことが明確になり、活動に取り組みやすかった」
「振り返りを行うことで、反省しないといけないことがわかった」
「前の時間にできなかった所を重点的に進めることができた」
といった生徒の感想からも明らかなように、自律学習者には欠かせないメタ認知方略を身につける初期の段階に入ったと考えられる。
この実践を通して、協同学習の効果が(1)で紹介したShow & Tell以上に明らかになった。
① 明確な目標を設定することが、生徒のメタ認知方略の育成に大きな影響を与える。この実践では、授業ごとに、最初にはペアで目標を設定させ、授業の終わりにはグループで振り返りをさせた。
「すべきことが明確になり、活動に取り組みやすかった」
「振り返りを行うことで、反省しないといけないことがわかった」
「前の時間にできなかった所を重点的に進めることができた」
といった生徒の感想からも明らかなように、自律学習者には欠かせないメタ認知方略を身につける初期の段階に入ったと考えられる。
② Positive Interdependence / Accountability
教師主導の一斉授業から生徒主体の学びへと転換させ、従来のグループ学習とは異なる協同学習の原理を教員と生徒が習得するには、それなりの時間が必要である。
今回の実践では、4月に協同学習を取り入れ2ヶ月経過しており、協力して学びあう姿勢が徐々に身についてきた。
協同学習の原理の中心である肯定的な支え合い(Positive Interdependence)や、一人ひとりの学びに対する責任(Accountability)をより一層高めることが大切であると考え、評価の規準の中に協同的な取り組みを含めることを宣言して活動に取り組ませた。
生徒からは、
「パートナーと協力して予想される質問を考えた」
「準備の段階では、パートナーと協力し、本番ではメンバーの助けを借りてやり遂げることができた」
「チームワークの大切さがわかった」
などの感想が寄せられた。
教師主導の一斉授業から生徒主体の学びへと転換させ、従来のグループ学習とは異なる協同学習の原理を教員と生徒が習得するには、それなりの時間が必要である。
今回の実践では、4月に協同学習を取り入れ2ヶ月経過しており、協力して学びあう姿勢が徐々に身についてきた。
協同学習の原理の中心である肯定的な支え合い(Positive Interdependence)や、一人ひとりの学びに対する責任(Accountability)をより一層高めることが大切であると考え、評価の規準の中に協同的な取り組みを含めることを宣言して活動に取り組ませた。
生徒からは、
「パートナーと協力して予想される質問を考えた」
「準備の段階では、パートナーと協力し、本番ではメンバーの助けを借りてやり遂げることができた」
「チームワークの大切さがわかった」
などの感想が寄せられた。
Triangle Discussionでは、授業ごとにペアで目標を設定し、授業後にはその振り返りをグループで行わせた。到達目標を明確にしたことにより、全員が授業でなすべきことを自覚し、ペアでの活動を意欲的に進めたと述べている。振り返りにより、生徒たちの学びに対する姿勢が深まったようである。
また、「背伸びとジャンプ」という卓越性の原理にもとづき、英語が苦手な生徒たちに3分間の討論を持続させるという難題を設定したことで、学びが深まり、達成感や自己肯定感を育むことができた。
活動を終えた全員が「英語の力がついたと思う」と述べていることからも、個人としての成長を実感しているようであった。
英語嫌いで、授業中に辞書を引くことなどほとんどなかった生徒たちが、一生懸命に辞書を引き、仲間と協力しながらスピーチの準備に打ち込む姿をみると、まるで魔法にかけられたようだった。
映像を公開できないのが残念だが、ビデオを撮りながら、思わず「奇跡だ!」と叫んでしまった。
活動を終えた全員が「英語の力がついたと思う」と述べていることからも、個人としての成長を実感しているようであった。
英語嫌いで、授業中に辞書を引くことなどほとんどなかった生徒たちが、一生懸命に辞書を引き、仲間と協力しながらスピーチの準備に打ち込む姿をみると、まるで魔法にかけられたようだった。
映像を公開できないのが残念だが、ビデオを撮りながら、思わず「奇跡だ!」と叫んでしまった。
(つづく)