前回、英作文参考書の内容を大きく分けると、(1)文法中心、(2)公式中心、(3)トピック中心に別れるようだと書いた。
渡辺のこの参考書は、その名の通り、(2)の公式中心主義に貫かれている。
渡辺のこの参考書は、その名の通り、(2)の公式中心主義に貫かれている。
本書はそうした著者のキャリアを活かして書かれたもの。
「はしがき」では次のように述べている。
「はしがき」では次のように述べている。
「著者は永い経験により、そこ〔= 和文英訳〕にはやはり共通の理論があり、一定の法則があって、これを上手に応用することが和文英訳の捷径であることを認識するようになった。この理論と法則を著者は和文英訳の基本公式と称している。この基本公式をよく理解し、正確に応用すれば、難業といわれる和文英訳も決して難業でないことを悟るようになった。これが本書の著作を計画した著者の動機である。」
さて、本書にはそうした基本公式が全部で112収められている。
公式の内容は次の「目次」から推測できよう。
ただ、この目次は日本語の表現をABC順に並べてあり、「索引」に近い。
公式一覧を付けてくれれば、もっとよかったのに。
公式の内容は次の「目次」から推測できよう。
ただ、この目次は日本語の表現をABC順に並べてあり、「索引」に近い。
公式一覧を付けてくれれば、もっとよかったのに。
本文では、まず〔公式〕が呈示される。
(1)「~する者は」「~する人は」
He who (that)…単数 Ono who (that)…単数
They who (that)…複数 Those who (that)…複数
He who (that)…単数 Ono who (that)…単数
They who (that)…複数 Those who (that)…複数
One who does not know a foreign language, does not know one’s own.
次に〔構文研究〕が来る。
ここでは限定関係代名詞としてのwhoなどの用法が、豊富な例文とともに解説されている。
またも、例文は格調高い。
外国語を知らない者は自国語を知らぬ。
次に〔構文研究〕が来る。
ここでは限定関係代名詞としてのwhoなどの用法が、豊富な例文とともに解説されている。
またも、例文は格調高い。
こうして、公式の単なる暗記ではなく、深い理解を得た後で、〔練習問題〕へ進む。
この英訳問題を解くために、最後に〔訳語案内〕が豊富に付けられている。親切だ。
この英訳問題を解くために、最後に〔訳語案内〕が豊富に付けられている。親切だ。
魅力的なのは、〔公式〕の原理を文法的にしっかり説明しており、「なぜこんな公式になるか」が理論的に理解できるようになっていることだ。
ところで、英語学習の世界で「公式」を言いだしたのはいつごろだろうか。
しかし、調べてみたら「公式」の歴史はさらに遡ることがわかった。
「公式」さえ覚えれば、「鬼に金棒だ」と学習者に自信を与える。
「公式」は魔力に満ちた言葉なのだ。