希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

東後勝明監修『必携 英語発音指導マニュアル』(北星堂 2009)

田邉祐司先生(専修大学)が、東後勝明監修・御園和夫ほか編集『必携 英語発音指導マニュアル』(北星堂、2009、本体3,500円)を贈ってくださいました。
田邉先生をはじめ、総勢20人による労作です。→Amazon

とても良くできた本なので、ご紹介します。

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発音指導やトレーニングに必要な項目がABC順になっていて、それぞれの説明がたいへん詳しく、懇切丁寧で、練習問題やCDも付いています。

教師が「ネイティブスピーカーに頼ることなく」指導できるようにするという意図が込められています。ですから、学生や中高の英語の先生のみならず、特に小学校外国語活動で発音指導に苦しんでいる先生たちにとっても、有益な1冊だと思います。

巻頭に「使い方ナビ」が掲載されているので、「中高での発音指導法」「早期英語教育に必要な発音知識」「自分の発音を磨きたいとき」「英語発音に関する知識を確かめたいとき」など、関心に応じて求める情報にジャンプできます。これは実に便利です。

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また、ペアワークなど、教室現場での発音指導法まで書かれているので、先生たちは助かるでしょう。

レーニングに少し疲れたかな、と思う頃に「コラム」が付いており、しかもそれぞれがとても面白いので、元気づけられてグイグイ先へと進むことができます。「うがいの"r"」(p.117)など秀逸ですよ。

驚いたのは、これだけ豊富な内容を、すべて見開きページで完結するように執筆・編集されていることです。しかも、それぞれの末尾に隙間がありません。これは大変な技量を要することで、執筆者と編者のご苦労に敬意を表します。なにより、とても読みやすいです。

索引がたいへん詳しいことも「ハンドブック」としての価値を高めています。

個人的には、World Englishesやカタカナを使った発音指導に関する見解などに若干の留保はありますが、全体としてはとても良くできており、学生・院生・教員を問わず、ぜひお勧めします。