希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

大学の英語授業での協同学習

本日5日は和歌山大学の入学式。

新入生,新入院生との出会いがとても楽しみです。

新学期の授業をどう組み立てるかを考えるには,前年度の自分の授業を謙虚に振り返らなければなりません。

そのため,前年度末に行った授業に対する学生たちの評価を見直してみました。

いろいろ考えることがありますが,今回は「協同学習の効果」に関してだけご紹介します。

僕は数年前から,大学でのすべての授業に小グループによる協同学習を取り入れています。

一方的な「講義」をできるだけやめて,学生に問題を投げかけ,グループ(基本は4人程度)で討論してもらい,出た意見をプレゼンしてもらうのです。

そうして出た意見をもとに,さらに突っ込んだ質問を学生に返して,また討論してもらいます。

「聴く・つなぐ・戻す」です。

一般の「英語」(語学)の授業では,すべて音楽と映画を使い,英語を聴き取ったり,意味を考えてもらいました。毎回,自作のプリントを使います。

僕が正解を言う前に,各自が自分の解答を出し合って,グループで相談してもらいます。

すると,仲間との教え合いが起こり,当然ながら一人でやっていたときよりも正解率が上がります。
それが自信につながり,意欲につながり,たくさんの友人ができ,授業への参加が楽しくなります。
毎回の復習テストは個人テストで,相談はできません。

「英語科教育法」の場合には,テーマが多いので,格段に討論や相談の時間が増えます。

下のデータのように,学生の満足度は驚くほどです。
もちろん,主観的なアンケートですから,割り引いて考える必要がありますが,協同学習の効果はまちがいないようです。

なお,下のデータは本務校と非常勤先の2つの国立大学の学生100人が対象で,教養科目の「英語」と「英語科教育法」の合計です。

「英語」と「英語科教育法」の授業の結果には大きな差はありませんでしたが,やや「英語科教育法」の授業の方が協同学習への満足度が高かったようです。グループ活動の分野が多かったからでしょう。

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