希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

2009-09-01から1ヶ月間の記事一覧

札幌鉄道局『鉄道英語会話』の謎

なんだか、このブログは英語教育史料の記事がやたらと増えてきた。 やっぱり、この世界が大好きなんですよね。(^_^;) で、またも新着史料の話です。 札幌鉄道局発行の『鉄道英語会話』(Practical English Conversation for Railway Servants) 変な本だ。 な…

後期のエリゼミ日程

2009年度の後期のエリゼミ日程は以下の通りです。 学部生 水曜日4限(ただし、会議がないときは5限まで延長する場合があるので、空けておいてね。) 院生 「英語科教育特論供廚水曜3限 「英語科教育特別演習供廚金曜3限 「課題研究」が金曜2限 火曜日は大…

泉谷しげるのピックをGet!

9月25日、「ムッシュかまやつ・泉谷しげる トーク&ライブ」に行く。 かまやつは70歳、泉谷は61歳。 でも、年齢を感じさせない熱演だった。 特に泉谷はアコギ1本でド迫力のパフォーマンス。 う~ん、スゴイ! あんな歳のとり方をしたいものだ。 前から5列…

実用英語講座(1928年開講)

戦前、エリート教育だった中等学校に進めなかった人たちに英語を学ぶ機会を提供した通信教育。 この埋もれた歴史を発掘したい。 そんな思いで、資料を集めている。 新着資料は、東京外語の片山寛が主幹となった「実用英語講座」(1928:昭和3年1月開講)。 …

東京府中等教育研究会の謎

手許に謎の資料がある。 『東京府中等教育研究会 英語部部報 第二号』(昭和16年12月15日発行、非売品、全114ページ) 太平洋戦争の端緒となった真珠湾攻撃の直後の発行だ。 この「東京府中等教育研究会英語部」のことについて、どなたかご存じないだろうか…

広島の出張先で新資料発見!

9月19日、英語教育史学会で出張中の広島のアカデミイ書店で通信教育教材を発見。 大日本普通学講習会の『言文一致 普通学講義』第4回講習の第1巻、明治37年(1904)7月10日発行。 全国の主要図書館にも国会図書館にもないと思われる資料が、なんと350…

入試問題を今から作れ!? 新型インフルエンザ対策で

大学の入試問題作りは、仕事の中でも最もシビアなものの一つである。 単語一つ間違えても、マスコミはここぞとばかりバッシングする。 だから、担当者は春先から何度も会議を開き、知恵を絞り、点検に点検を重ね、極秘資料の保管に気を配る。 その入試問題を…

太平洋戦争期の雑誌『進学指導』

レアな新着資料を紹介しよう。 アジア・太平洋戦争末期の1944(昭和19)年に発行された雑誌『進学指導』。 発行は英語通信社。発行人は今井精一だ。 古書店から届いたものは昭和19年1月号(第9巻1号)、同4月号(第9巻4号)、同5月号(第9巻5号)の3冊。 Web…

戦前の受験「名門」中学(英語教育史入門講座2)

先のOECD報告でも、日本の学校格差の大きさが指摘された。 日本では、どの高校(最近では中学も)に入学するかで、その後の進路が大きく左右されてしまう。 なんとか是正したいものだ。 ところで、戦前は高校にさえ入学すれば、ほぼ自動的に帝国大学に進学で…

附属中の生徒に授業

9月11日に、附属中学校の3年生20名が体験授業の一環として大学に来られ、ぼくは「映画で学ぶ比較文化学」と題した授業をしました。楽しかった~ 授業の様子は同日のNHKテレビでも報じられました。(^_^;) 概要: 「となりのトトロ」「ルパン三世」「魔女…

研究社英語通信講座のルーツ

日本の英語教育とともに1世紀にわたって歩んできた研究社。 その研究社(1907:明治40年の創業当時は「英語研究社」)のルーツの一つは、英語通信講座だった。 その淵源は、1900(明治33)年までさかのぼる。 当時、東京市青山南町の青山学院内にあった学窓…

『英語教科書の歴史的研究』(辞游社 2004)

小篠敏明・江利川春雄編著『英語教科書の歴史的研究』(辞游社 2004.8) 148p 本体2.500円(書店では品切中:問い合わせは辞游社へ) 明治から戦後までの代表的な英語教科書を計量的、質的に分析した19人の学際的共同研究。 対象教科書の膨大なページをテキ…

『アジアの子どもは英語をどう学んでいるか』(2009.3 共著)

アジア英語教科書比較研究会著『アジアの子どもは英語をどう学んでいるか : 英語教科書の比較から』 (中部地区英語教育学会2006~08年度課題別研究 : アジア英語教科書比較研究プロジェクト論文集) 127p ; 30cm(非売品) <内容> 第1部 アジアの英語教…

『危機に立つ日本の英語教育』(大津由紀雄編著 2009)

大津由紀雄編著『危機に立つ日本の英語教育』(慶応義塾大学出版会、2009.7) 317+12p ISBN 978-4-7664-1656-5 定価 1800円 日本の英語教育は、どこに向かうのか? 財界(経団連)の要望を取り入れる形で文科省が作成した「『英語が使える日本人』の育成のた…

ネット上の記事アーカイヴ(幕末~現代の教科書600冊)

インターネットというのは不思議な空間だ。 ときに、忘れていた想い出をよみがえらせてくれる。 以下の記事は2005年の日本英語教育史学会和歌山大会のときの教科書展示会のもの。 ああ、そういえば前夜に広島のU氏と東京のK氏が我が家に泊まり、楽しく飲んだ…

『近代日本の英語科教育史』(東信堂、2006)

『近代日本の英語科教育史:職業系諸学校による英語教育の大衆化過程』(東信堂、2006) ☆日本英学史学会豊田實賞(2007年度)を受賞 amazon NACSIS Webcat 【書評・紹介】 大修館書店『英語教育』2007年1月号(大谷泰照氏) 研究社『英語青年』2007年1月号…

『日本人は英語をどう学んできたか』(研究社、2008)

『日本人は英語をどう学んできたか:英語教育の社会文化史』(研究社、2008) *重版が決定しました! (2009年12月発行) amazon 研究社 NACSIS Webcat Googleブックスで内容の一部を見ることができます。 【書評】 平田諭氏「日本英学史学会報」第117号・2…

英語教育史入門講座1(実態に迫る資料を)

英語教育史の研究でもっとも難しく、したがって面白いのは、学習者(教授者)の「実態」を解明することだ。だから、息づかいが伝わってくるような「生の資料」に触れたときほど嬉しいことはない。 英語教育史研究は、まず制度史を固めたい。 だが、文部省の…

ソフトバンクのお父さん危機一髪

ぼくはソフトバンクのCMのお父さん犬のファンなのですが、次のシーンはスゴイです。 http://mb.softbank.jp/mb/special/norikae/cm.html ああ、どうなるかと思った(汗;)

戦前の通信講座は百花繚乱

ちはやさんはZ会ですか。うーん、賢い! 僕は田舎で旺文社の通信添削を受けていました。 戦前の通信講座は明治中期から実にたくさん出ています。 英語を中心に概要を書いておきますね。(実は、いま論文を執筆中なんです。) 1885(明治18)年11月 東京学館…

明治の通信教育資料1

私が調査した限りでは、最も早い時期の通信英語講座としては、1885(明治18)年11月17日から東京学館の『英学自習書(Text-book for Home Study)』が逓信省認可の通信教育教材として刊行されています。 東京学館は反骨のジャーナリストとして知られた宮武外骨…

データベース

幕末以降外国語教育文献コーパス画像データベース 明治以降外国語教育史料デジタル画像データベース 明治以降外国語教科書データベース J-Stage(総合電子ジャーナルプラットフォーム)

学術関係リンク

江利川春雄(研究者総覧) Twitter 江利川春雄 @gibsonerich 江利川春雄のFacebook 安全保障関連法制の廃止を求める和歌山大学有志の会 (旧)安全保障関連法案の廃案を求める和歌山大学有志の会 和歌山英語教育研究会 日本英語教育史学会 神戸英語教育学会 …

韓国にハマる

この8月に子どもらを連れて韓国のソウルに行ってきました。 2月のゼミ卒業旅行で行ったのに、まさか1年に2度も行くとは。 一番好きなのは、子どものころ胸をときめかせたような「市場の活気」があること。とても人間くさく、なつかしいのです。 次に、食べ物…

日本英語教育史学会広島例会(9月20日)

(成功裏に終了) とても充実した研究会でした! 行ってよかった。ほんと。 日本英語教育史学会第223回月例研究会 日 時: 2009年(平成21)年9月20日(日)午後2時~5時 会 場:県立広島大学広島キャンパス(広島市南区宇品東一丁目1番71号) 教育研究棟1(…

9月4日は和英研例会

☆盛会のうちに修了しました。↓ 2009年度 第3回 和歌山英語教育研究会のお知らせ ========= 関心のある方ならどなたでもご参加いただけます。 江利川ゼミの学生・院生も久しぶりに全員集合ですね! 万障お繰り合わせの上、ご参加お願い申し上げます。 日時:…

欧文社通信添削会 合格一覧

英語通信教育の歴史を研究していますが、求めていた新資料が入手できました。 欧文社(現・旺文社)の通信添削を受けていた受験生たちの合格一覧(1942年度)です。 学校種別にすべて実名で出ています。 ちなみに、旧制一高(現・東大教養学部)の合格者480…

「授業は英語で行う」への異論

2009年3月に告示された高校の新学習指導要領では「授業は英語で行うことを基本とする」との方針を盛り込みました。 これは、理論的にも実践的にも重大な誤りです。 しかも、中教審の外国語専門部会の意向を無視した方針です(部会の委員から直接うかがいまし…

新英研創立50周年シンポでの発言

新英語教育研究会全国大会(2009)in 東京(2009.8.1) 新英研創立50周年シンポジウム「英語教育の原点と未来を語る」-小学校英語活動導入を受けて での発言要旨です。 <競争と格差>から<協同と平等>の英語教育へ 江利川 春雄(和歌山大学教育学部) 1…

『英語教育のポリティクス』の問題意識1

『英語教育のポリティクス:競争から協同へ』(三友社出版)の問題意識を述べます。 同書の「はじめに」には以下のように書きました。 英語の時間になると、子どもたちの瞳が輝き、職員室を出る先生たちの顔がほころぶ。 そんな学校にするために、どうすれば…