希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

2012-01-01から1年間の記事一覧

英語科協同学習に関する研究会(10月6日・和英研)

9月21日はゼミ生の卒業式(前期)でした。 梅ちゃん、本当におめでとうございます! Facebookにも載せましたが、とってもめでたい感じを顔で表現しました。 さて、和歌山英語教育研究会の第3回例会は、中学校英語科における協同学習の実践をふまえた研究発…

2010年度の英語教育界を振り返る(5)

「2010年度の英語教育界を振り返る」も第5回、いよいよ最終回です。 こうして過ぎ去った日々の記憶と記録をたどってみると、今日に通じる様々な問題の萌芽や源泉が見えてきます。 ずっと提起され続けてきたのに、いまだに解決していない、しようとしていない…

2010年度の英語教育界を振り返る(4)

9月15-16日の広島市での学会出張から帰り、すぐに新著『協同学習を取り入れいた英語授業のすすめ』(仮題)の2校を終えました。 11月発売予定ですので、最後の追い込みをがんばります。 同時並行に、日本における外国語教育政策の研究も進めているのですが…

秋の安芸の宮島

9月16日に広島で開催された日本英語教育史学会に学生・院生と出席してきました。 よく学び、よく遊ぶがだいじ。 なので、学会のもう一つの魅力は、飲み会と観光! ようやく秋の気配が漂うなか、安芸の宮島・厳島神社に行って来ました。 海に浮かぶ朱塗りの本…

2010年度の英語教育界を振り返る(3)

ゼミで嬉しいニュースが続きました。 50倍を超す公務員試験に挑んでいたD君が、みごと合格を決めました。 難関だった東京大学大学院教育学研究科の入試に、本日、A君が合格を決めました。 日本英語教育史を専攻する予定です。 みんな巣立っていくのは寂しい…

福島県の子どもの甲状腺検査で36%に異常を発見、なのに!

福島県、子供の甲状腺検査で36%に、異常を発見 前編 福島県、子どもの甲状腺検査で36%に異常を発見。 なのに、福島県立医大の山下俊一教授(副学長)らは具体的な情報を隠し、再検査を妨害し、データ利用を強制するなど、福島の子どもを被ばくの実験材料にし…

2010年度の英語教育界を振り返る(2)

「2010年度の英語教育界を振り返る」の2回目です。 6月 小学生の11%が英会話教室に 「英会話などの語学教室に行っている」と回答した子どもは、小学生が約11.2%、中学生が7.2%、高校生が1.5%で、英語学習に励む小学生の多さが目立つ。 2010年6月に発表…

2010年度の英語教育界を振り返る(1)

未来の英語教育の良くするためには、これまで何が行われてきたのかを正確に把握する必要があります。 その意味で、大修館書店の雑誌『英語教育』10月増刊号に毎年載っている「英語教育日誌」は貴重です。 2009年度分までは、長らく伊村元道先生(元玉川大学…

伝説の傾いたラーメン店「まる豊」探訪記

和歌山ラーメンの伝説のお店「まる豊」をご存じでしょうか? 失礼ながら、掘っ立て小屋のようなボロい建物で、築67年。 傾き角度は12度を超えます。 そのため、玄関は自然の「自動ドア」で、開けると、あとは重力で勝手に閉まるのです。 紀ノ川に近いため、…

パウロ・フレイレの「希望」論

本ブログ「希望の英語教育へ」は、2009年9月1日が誕生日ですから、やっと3歳になったところです。 可愛い盛りとも言えますが、要するに未熟です。 でも、未熟であることは、今後に豊かな可能性を秘めているということです。 よね。(^_^ 「希望」というのは…

批判的英語教育学へ

競争と格差の「新自由主義教育政策」に抗する上で,「批判的教育学」(Critical Education)の知見は欠かせない。 この分野では,以前にも紹介したが,マイケル・W・アップル,ジェフ・ウィッティ,長尾彰夫編『批判的教育学と公教育の再生:格差を広げる新自…

格差に抗し,全員を伸ばす英語教育へ(7)

「格差に抗し,全員を伸ばす英語教育へ」と題したこの連載も,今回でひとまずお開きです。 でも,このテーマに関しては本来は「終わり」はありません。 格差や差別がなくなるまで,闘いに終わりはないからです。 競争と格差,1%の幸福と99%の不幸を招く「…

格差に抗し,全員を伸ばす英語教育へ(6)

本日9月1日,ブログ開設3周年を迎えました。 これからも,どうかよろしくお願い申し上げます。 さて,外国語(英語)教育に関係する新学習指導要領の特徴と問題点について,簡単に述べたいと思います。 (1)小学校の新学習指導要領 2011年度から外国語活…

格差に抗し,全員を伸ばす英語教育へ(5)

日本協同教育学会から研究紀要『協同と教育』第8号が届きました。 巻頭に関田一彦先生の「協同教育と私」を拝読して,感動しました。 少し引用させていただきます。 「協同の原理とは,人が誰かの役に立ちたい,人のためになろうという無自覚な願い(利他性…

格差に抗し,全員を伸ばす英語教育へ(4)

日本の言語環境では,英語による日常会話は,きわめて非日常的です。 我が家では,私が大学で英語教員養成に従事し,長女が外国語学部の英米語学科に在学していますが,それでも家庭内で英会話を交わすことはまずありません。 もっとも,以前,酔っ払って英…

格差に抗し,全員を伸ばす英語教育へ(3)

これまで2回にわたって見てきたように,1990年代からの新自由主義教育政策が公教育を疲弊させてきました。 この政策がもう一つ危険なのは,その市場万能主義によって,国民の意識の中に「学校教育=サービス」という観念を刷り込んでしまったことです。 多く…

格差に抗し,全員を伸ばす英語教育へ(2)

前回の「格差に抗し,全員を伸ばす英語教育へ(1) 」に対しては,Facebookも含めて,多くの人々からのコメントをいただきました。 そのなかに,新自由主義教育政策に関する文献を教えてほしいとの要望がありましたので,まずそれにお応えします。 前回のコ…

格差に抗し,全員を伸ばす英語教育へ(1)

8月24日にコメント蘭に書き込みをいただいた神奈川の中学校で英語を教えておられる「ロイ・オービソン」さんの言葉がずっと気になっています。 以下の内容です。 「実際の英語教育が歪められてしまっており、生徒たちの中に協力原理ではなく競争原理が働いて…

祝 20万アクセス

2009年9月に開設した本ブログも,もうじき3年が経とうとしています。 そんな折,本日20万アクセスに達しました。 乾杯!! この3年間に,のべ20万人ものみなさんと交流できたことを心から嬉しく思います。 ちなみに,20万人といえば,私の出身地であ…

日本人と英語の出会いをたどる旅(3)

本題に入る前に一言。 Twitterにも書いたのですが,8月22日に野田首相に面会した反原発グループの人の言葉に共感しました。 「この国で眠りこけていた民主主義が再稼働したのかもしれない」。 各種の調査結果が示しているとおり,「原発ゼロ」はいまや最大の…

日本人と英語の出会いをたどる旅(2)

前回のブログ記事をご覧になった方から,僕のTwitter宛てにうれしいコメントをいただきました。 ご紹介します。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「日本人と英語の出会い」ですと、歴史上…

日本人と英語の出会いをたどる旅(1)

もうじき夏休みも終わり,とため息をついている人も多いのではないでしょうか。 この夏,旅行もしたい,本も読みたいと思いながら,実現できずに終わってしまったという人もおられるでしょう。(僕もそうですが。) 本日21日,僕は教員免許更新講習の講師と…

全国の英語教育実践から学ぶ

8月17日から神戸市で開催されている「教育のつどい」に出席しています。 17日の全体会に続き、18日からは外国語分科会が開催されています。 各都道府県から選りすぐられた内容の濃い発表が続き、大いに学ぶことができました。 発表者に共通するのは、英語教…

「英語教育」という用語はいつから?

本日8月14日はお盆休みを返上して,教員採用試験一次合格者の二次試験対策を行いました。 和歌山県の二次試験では,英語による模擬授業(中学校)や,英語による指導方針のプレゼン(高校)などがあります。 傾向と対策を論じた後,集まった5人の学生に1人…

8.10「再稼働反対」官邸前行動~9歳の少年が野田批判

8.10「再稼働反対」官邸前行動~9歳の少年が野田批判 マスコミはほとんど報じませんが,8月10日(金)も、原発再稼動反対金曜デモが官邸前・国会正門前など霞ヶ関一体で繰り広げられました。 正門前の集会では、9歳(小3)の少年がマイクを握り,原発政策と…

なぜ教育予算を増やさない

オリンピックで浮かれているドサクサに,消費税増税法案が成立してしまった。 民主,自民,公明の野合の結果だ。 社会保障については先送りされ,早くも自民サイドからは「公共事業の大幅増」の大合唱が起こっている。 「人よりコンクリート」の昔の歌だ。 …

立秋は過ぎたけど

立秋は過ぎましたが,相変わらず暑いですね。 勤務先の大学では,8月13日から17日まで一斉休業が義務づけられております。 なので「特別休暇」を出しました。 なので「夏休み」のはずなのですが,現実はそうもいきません。 備忘録を兼ねて,当面の予定をメモ…

教員採用試験一次試験の発表

8月8日は和歌山県,大阪府の教員採用試験一次試験の発表日。 今年の僕のゼミに参加する4回生は,5人が難関の教採試験を受けています。 朝からドキドキでした。 で,結果は? なんと,5人全員が一次試験を突破しました! みんな,本当によくがんばりました…

協同学習に対する大学生の意見(その2)

8月5-6日,和歌山県有田川町清水の「山荘アオ」で行われたゼミの夏合宿が終わりました。 お天気にも恵まれ,いやあ,楽しかった! 下の写真は,生石(おいし)高原からの展望です。 遠く,淡路島や四国まで見えました。 総勢10人で,教員採用試験,公務員試…

協同学習に対する大学生の意見(その1)

前回は協同学習に対するアンケートを紹介し,「グループでの授業は楽しかった」「グループでの授業は効果的だ」に対しては,ともに全員が「そう思う」「ややそう思う」と回答したことを紹介しました。 アンケートの最後には,「グループによる協同学習につい…