希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考えるブログです。

英語教育史料

伊藤和夫『新英文解釈体系』(1964)を読む(12)

第6章 形容詞的修飾語の後半です。 前回と同様、容量の限度まで原資料を載せ、余計なことは書かないようにします。 みなさんの解釈やご意見をコメント欄にお書きいただければ幸いです。 なんとも体系的な叙述。 しかも詳しい。 面白い本です。 (つづく)

伊藤和夫『新英文解釈体系』(1964)を読む(11)

いよいよ全10章の後半に入ります。 第6章 形容詞的修飾語です。 「全文を掲載してほしい」とのリクエストもありましたが、著作権と容量の制約により、さすがに無理です。 ですが、今回は私の解説は削除し、2回に分けて、できる限り本文を掲載します。 ぜひ…

伊藤和夫『新英文解釈体系』(1964)を読む(10)

前回このシリーズを掲載したのが3月8日。 3月11日の大震災をはさんで、日本の歴史は大きく転換してしまった。 なんと長い1週間だったことだろう。 復興支援のために関西に住む私たちとしても、出来る限りのことをしたい。 和歌山大学教育学部でも、20日に予…

伊藤和夫『新英文解釈体系』(1964)を読む(9)

3月5日の埼玉県熊谷市での講演「英語教育の政策と方法を問う:競争から協同へ」を終え、数年ぶりに同市に住む母親に会い、東京で編集者と楽しい語らいの時間を過ごして、7日に和歌山に戻った。 お土産は、母親手作りの草餅。親はいくつになってもありがたい…

伊藤和夫『新英文解釈体系』(1964)を読む(8)

前期入試が一段落したと思ったら、3月5日(土)の埼玉県熊谷市での講演「英語教育の政策と方法を問う ~競争から協同へ~」のレジュメを準備をしなければならない時期になった。 (いつも直前・・・) 講演といえば、3月29日には経済人や技術系の人たちを…

伊藤和夫『新英文解釈体系』(1964)を読む(7)

近著『受験英語と日本人:入試問題と参考書からみる英語学習史』(研究社)の2校を編集部に送り、ちょっと一息。 といっても、明日23日までには校正の戻しがあり、最終チェックを経て、24日には印刷にまわすとか。 いよいよ大詰めだ。 索引を入れると、全体…

伊藤和夫『新英文解釈体系』(1964)を読む(6)

第1章「文の基本要素」の続き。 【3】S+be+p.p.+X は割愛して、【4】S+V+X+X を紹介したい。 伊藤和夫は「2つのXを第4形式〔S+V+O'+O〕として理解すべきか、第5形式〔S+V+O+OC〕として理解すべきかは英文解釈の重要な問題点である」としている。 記述…

伊藤和夫『新英文解釈体系』(1964)を読む(5)

「はじめに」で2つの基本原理(前述)を提示したあと、いよいよ「第1章 文の基本要素」でそれらの原理を適用させていく。 冒頭には「この章の課題」が置かれ、目指すべき目標が鮮明に示されている。 しかも、各章の末尾には「この章のまとめ」が置かれ、小…

伊藤和夫『新英文解釈体系』(1964)を読む(4)

横浜の山手英学院で英語を教えていた東大生には、英文学科出身の沢崎順之助や小池滋(ともに後に東京都立大教授)がいたことはすでに述べた。 彼らは1953(昭和28)年頃に同学院に非常勤講師として採用されたのだが、公募によるもので、一次は筆記試験、二次…

伊藤和夫『新英文解釈体系』(1964)を読む(3)

毎日新聞社が「授業はすべて英語で」などという誤報に対して1月26日付夕刊で訂正記事を出したので、この件はひとまず(あくまで「ひとまず」)一段落させたい。 ただし、問題の根本はまだ解決していない。 その相手は、一新聞社ではない。 明日は早朝から推…

伊藤和夫『新英文解釈体系』(1964)を読む(2)

新著『受験英語と日本人』(研究社)の脱稿、入試、毎日新聞の誤報問題などにかかわり、連載がすっかり間延びしてしまった。 しかし、本日1月21日は伊藤和夫の命日。 何があっても、彼の初の単著『新英文解釈体系』について書かないわけにはいかない。 まず…

伊藤和夫『新英文解釈体系』(1964)を読む(1)

一昨年来、日本人にとって「受験英語」とは何なのかをずっと考えてきた。 たくさんの資料を読み、明治以来の英語の参考書をひもといてきた。その一端は本ブログでも公開してきた。 そうした中で、どうしても読み解かなければならない参考書がある。 伊藤和夫…

安部磯雄も教えていた岡山英学校の沿革資料(1895年)

古書店より「岡山英学校概況及希望」(1895:明治28年8月)を入手した。 B4よりやや大きい用紙に裏表で印刷されている。 岡山県には1903(明治36)年10月に始業した「岡山正則英語学校」という学校があったことは、私たちの明治以降外国語教育史料デジタル…

英作文参考書の歴史(21)小沢準作・三井平六『研究英作文』(1956)

1950年代のビンテージ参考書 ○ 小沢準作・三井平六『研究英作文』清水書院、1956(昭和31)年7月1日初版 2+10+346+23頁 *写真は1959(昭和34)年5月20日発行の第10版 エレキギターがそうであるように、日本の英作文参考書は1950年代には完璧の域に達して…

英作文参考書の歴史(20)加賀谷林之助『大学受験 和英・英作徹底講義』(1955)

予備校講師による「実況中継」の先駆的作品 ○ 加賀谷林之助『大学受験 和英・英作徹底講義』北星堂書店、1955(昭和30)年4月10日発行 7+2+259頁。 *写真は1955(昭和30)年11月30日発行の再版 加賀谷林之助は、鈴木長十らと共に駿台予備校の英語講師だっ…

英作文参考書の歴史(19)渡辺秀雄『公式応用 和文英訳研究』(1954)

112の基本公式で和文英訳に習熟 ○ 渡辺秀雄『公式応用 和文英訳研究』研究社出版、1954(昭和29)年12月1日発行 14+264頁。 写真は1962(昭和37)年3月20日発行の14版(刷) 前回、英作文参考書の内容を大きく分けると、(1)文法中心、(2)公式中心、(3…

英作文参考書の歴史(18)西川正身・刈田元司『和文英訳の研究』(1954)

英米文学の用例を配置した確かな英語表現 ○ 西川正身・刈田元司『和文英訳の研究』北星堂、1954(昭和29)年8月15日初版 2+2+272頁。写真は初版(墨のシミあり) 西川正身(1904~1988)も刈田元司(1912~1997)も高名なアメリカ文学者。西川は1962年には…

英作文参考書の歴史(17)山田和男『英作文研究:方法と実践』(1952)

英作文参考書の最高峰 ○ 山田和男『英作文研究:方法と実践』文建書房、1952(昭和27)年7月1日初版。 6+309頁。 写真は1954(昭和29)年3月31日発行の修訂重版 この本は、著者自ら「大学の学生、あるいはそれ以上の人を目標にして書いた」とあるように、…

英作文参考書の歴史(16)升本正爾『定型応用 活用英作文』(1954)

日英比較→公式・定型応用→英文構成法で実力養成 ○ 升本正爾『定型応用 活用英作文』開隆堂、1954(昭和29)年7月1日初版 4+459頁。 升本正爾は1931(昭和6)年に九州帝国大学英文科を卒業し、旧制中学の教諭を経て高岡高等商業学校、山口高等学校、山口大…

英作文参考書の歴史(15)佐々木高政『和文英訳の修業』(1952)

もうじき還暦を迎える定番参考書 ○ 佐々木高政『和文英訳の修業』文建書房、1952(昭和27)年1月30日初版。 写真左は1957年6月30日発行の改訂新版(1961年3月1日の重版)で381頁。 写真右は1981年1月6日発行の四訂新版1刷(1988年2月25日の四訂新版4…

英作文参考書の歴史(15)佐々木高政『英文構成法』(1949)

英文の「型」を追求した超ロングセラー参考書 ○ 佐々木高政『英文構成法』金子書房、1949(昭和24)年11月20日初版。 写真左は1954年3月15日発行の改訂新版(1955年5月30日の通算32版)で3+2+313頁。 写真右は1973年5月31日発行の五訂版(1987年2月10日の…

英作文参考書の歴史(14)岩田一男『英作文一日一題』(1956)

1日1題・1年360題で実力完成 ○岩田一男『英作文1日1題:項目別実力養成』研究社、1956(昭和31)年6月20日初版。 6+3+283頁。 写真は1966(昭和41)年10月15日発行の14版 前回に続き、岩田一男の英作文参考書を紹介したい。 岩田はベストセラーを連発す…

英作文参考書の歴史(13)岩田一男『実力完成 英作文の基本文型』(1951)

長大な「日本英語教育史研究の課題と展望」(2万字)を書き上げ、広島での学会発表も終わり、昨日は後期日程の入試の合否判定も済ませ、同僚の送別会にも出席して、やっとブログに戻ることができました。ふー。 すっかりご無沙汰でしたが、ようやく「ただい…

英作文参考書の歴史(12)須藤兼吉『英作文新講』(1950)

「受験界の権威者」によるトピック方式の英作文 ○ 須藤兼吉『英作文新講』中大出版社、1950(昭和25)年4月発行。 3+1+334頁。英文タイトルはThe Standard English Composition. 神奈川大学教授・東京外国語大学講師の海江田進の協力を得たとある。 写真は1…

英作文参考書の歴史(11)松川昇太郎『実力完成 受験英作文法』(1949)

英作文+英文法のユニークな「英作文法」参考書 ○ 松川昇太郎『実力完成 受験英作文法』清水書院、1949(昭和24)年10月15日発行。 扉・奥付の表記は「大学受験 英作文法」。4+4+225頁。 写真は1950(昭和25)年6月20日の第10版 松川昇太郎(1904-1976)は東…

英作文参考書の歴史(10)沢崎九二三『新制学習 英作文の新研究』(1949)

「語り」が冴えわたる新制大学発足期の英作文 ○ 沢崎九二三『新制学習 英作文の新研究』山海堂、1949(昭和24)年6月5日発行。 本文278頁+索引13頁=291頁。 戦後の英作文参考書を紹介するにあたって、どれから始めようか迷った。 あまりにも数が多いからで…

英作文参考書の歴史(9)小野圭次郎『英語の作文』(その2)

昭和受験史の伝説「小野圭シリーズ」の英作文(2) ○ 小野圭次郎『〔三訂〕新制 英語の作文 研究法』山海堂、1928(昭和3)年5月23日発行、1946(昭和21)年12月5日三訂229版。全443頁。(写真左) ○ 小野圭次郎『〔改訂増補〕新制 英語の作文 研究法』小…

英作文参考書の歴史(8)小野圭次郎『英語の作文』(その1)

昭和受験史の伝説「小野圭シリーズ」の英作文(1) ○ 小野圭次郎『最新研究 英語の作文 学び方と考へ方』山海堂出版部、1928(昭和3)年5月23日発行。1938(昭和3)年9月2日の11版から訂正版。全454頁。 写真は1937(昭和12)年4月8日発行の訂正121版…

英作文参考書の歴史(7)山崎貞『新々和文英訳研究』(1925)

山貞の英作文参考書は、戦後なぜ消えたのか ○ 山崎貞『新々和文英訳研究』研究社、1925(大正14)年5月10日発行。 発音略説6頁+本編348頁+語彙一覧78頁=432頁 山貞(やまてい)といえば『新々英文解釈研究』(1925)が浮かぶが、本書『新々和文英訳研究』は…

英作文参考書の歴史(6)花園兼定『英作文の根底から』(1928)

個性あふれる多角的な英作文指導書 ○ 花園兼定『総合的研究 英作文の根底から』北星堂、1928(昭和3)年3月4日発行。 英語のタイトルは、EXPRESSION IN WRITING. 序論14+目次14+本論346=374頁。 *写真は1928年4月1日発行の第4版。 花園兼定(はなぞの…